ジグザグ!

月組『グランドホテル』

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1920年代のドイツ・ベルリン。一流ホテル「グランドホテル」では、一見華やかに見えながら、実は様々な悩みを持った人々が宿泊している。落ち目のバレリーナのグルーシンスカヤ、男爵を名乗りながら、金策に追われて窃盗を繰り返すガイゲルン、余命いくばくもないと診断され、人生最後は楽しみたいと宿泊する会計士のオットー、経営不振により金策に追われるオットーの元雇用主プライジング、その秘書フレムシェン。同じホテルに宿泊している人々の、万華鏡のように転回していく1日半を映し出す。

※当初、著作権の関係で円盤がリリースされないということで必死にまとめたあらすじを別ページに移しました。
グランドホテルあらすじ

 

超〜〜〜〜〜〜〜良かった!表現力が無さすぎるけど、本当に超良かった!月組は上手い、という評判、理解した。上手いわ、素人でも分かる、この上手さ。

オットーが素敵だった。死にかけなのに、初めてのダンスをフラムシェンに教えてもらいながら拙いながらも楽しんだり、株で大儲けして力の限り喜んだり、その姿がとても愛らしいのだけど、背後には死が待ち受けていると思うと切ない。とてもとても丁寧に役を作り込んだのだろうな、本当に大切に演じていることが伝わる素敵なお芝居だった。

フラムシェンが「お腹に赤ちゃんがいるみたいなの」ってパリへ行くのを断ろうとした時に「まだ産まれたばかりの赤ちゃんを見たことがないんです!うわあ楽しみだなあ!」ってオットーが言うシーンで泣いてしまった。

オットーの生き方って、ひたすら仕事ばかりを頑張って金を貯め込んで病気になって死ぬ感じがちょっと日本人ぽいかなって。ユダヤ人って、勤勉を美徳としているんでしたっけ。だからちょっと親近感があったのかな…でも今のわたしでは余命宣告されたとしたらオットーみたく生きることは出来ない、うらやましいと思った。

死が自分の肩をあと少しでぽんぽんと叩いてくる、その気配が分かる、そんな立場になったときにどんな風に人生を思うのかなとグランドホテルを観て漠然と思った。

オットーが言った「死ぬことは怖くない、怖いのは死だ」の言葉の意味がむずかしくてまだしっくり来ないのは、オットーみたいに確実な死が迫ってきているわけじゃないからなのかなあ。誰しもいつ死ぬか分からないけど、オットーのように確実に来ると分かっていないからか。わたしはどっちも怖いけど。

若くてハンサムな男爵サイコーでした。ジゴロにはなりたくないんだよね…貴族としてのプライドや本人の良心の呵責なのか、財布を盗めなかったりとか盗みの途中で襲われてるフラムシェンを助けたりとか、甘いところがあって。オットーと交流したことで変わった部分もあるかもしれない。

エリザヴェッタの背中の筋肉がすごくて…無駄な肉がついていなくて、鍛え上げられていたバレリーナでした。エリザヴェッタは結構なお姉さんなのだけど、男爵との夜を過ごし心を通わすことで少女のようになってとても可愛い。

少女のようになってとても可愛いんだけど、おばちゃんっぽい演技が上手すぎる!年増っぽい感じがすごい出ていた。

男爵がオットーの財布を盗んだシーン、「預かっておいてと頼んだじゃないか」と男爵に言われたオットーは嘘に付き合ってくれたという理解で良いのかな。

それで、財布を盗もうとしたということはお金が必要なのだと察して株でもうけた分の取り分ですよとお金を渡すんだよね。「わたしのお金ではなく、これはあなたのお金だ」って。

エリザヴェッタの付き人のラファエラ、あのありちゃん(暁千星)なのか…!と驚いた。幼い顔立ちをしている人なので、あの寡黙で内に秘めている渋めの役を演じているなんてびっくり。

ラファエラは役替りであーさ(朝美絢)バージョンも観た。あーさもすごく落ち着いてるけど、内に秘めたドロドロだけど純粋な独占欲が絶妙に漏れてるように観えた。

フラムシェンが可愛いし良い子!嫌な顔ひとつせずにヨレヨレのオットーと楽しく踊ったり、男爵に振られてガーンってなりつつもすぐ切り替えたり、明るくてちょこまかしててすっごく可愛い。女優になる夢を抱きながら妊娠しちゃって、でも全然そのことを悲観せずに「あたしの人生って色々あるのよね!」なんて軽いんですよ。その軽さが最高で、彼女はとてもたくましくて魅力的だ〜これぞチャーミング。

ラストシーンで、息子が産まれたあーさエリックがこれまで心配を隠しきれず曇らせていた表情をぱあっと明るくして希望に満ち溢れた歌を、とても伸びやかな声で歌い上げたところ、とてもすごかった。泣いた。あれは泣く!ありちゃんバージョンもよかったよ!

死が近いオットーが、お腹に新しい命を宿したフラムシェンと一緒にグランドホテルを去る。死と新たな生命、エリックの息子のこともあるけど、この対比の組み合わせが尊くて、産まれたばかりの赤ちゃんを見たことがないオットーが、ちゃんとフラムシェンの赤ちゃんを見れることを祈ります。きっと見れる。見る気満々だもんねオットー!泣くわ!

何気なく生きてしまっているから、本当に毎日あっという間に、なあなあと過ごしてしまっているから、こうやって色んな人の行動を一気に見せられてしまうと胸がぎゅっとしてしまう。こう、ガツンと。立ち止まるきっかけを与えてくれる作品だと感じて、その時のメンタルのコンディションによってはしんどいかもしれないけど、わたしにとってとても大切な作品のひとつになった。

素晴らしいミュージカルを観ることが出来てとても幸せな気持ちでいっぱいになった。宝塚を観るといつも心が満たされるんだけど、今回は何とも言えない余韻がすごいよ。

お願いなのでどうにかして円盤を出して下さい。 2017/7/14に叶いました!