ジグザグ!

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いろんなことをかくよ!

感想:雪組『CAPTAIN NEMO ネモ船長と神秘の島』

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19世紀後半、イギリスの捕鯨船南大西洋サウスサンドウィッチ諸島付近で謎の遭難事故を繰り返し、船乗りたちからは魔の海域と恐れられていた。
イギリス政府は学者たちを招聘し調査隊を編成、南大西洋へと艦隊を派遣した。だが魔の海域に近付いたとき艦隊は次々に船底から爆発、沈没。
救命ボートで九死に一生を得たわずかな学者たちは、地図にない島に辿り着いた。その島は植物も育たない寒帯地方にもかかわらず、海底火山帯の地熱で温暖な上、地熱を利用した発電装置まで備え、世界中の何処よりも発達していた。
島の住民は、東欧・アジア・アフリカなど帝国の植民地支配から逃れてきた人々だった。そして、その島の主は、潜水艦「ノーチラス号」の船長ネモ、有能な物理学者でもある彼は、寡黙で謎に包まれてはいるが、島民からは絶大な信頼を得ていた。
ところが、島の秘密は調査隊の知るところとなり、本国にも知られてしまった。
島民たちを護るためネモ船長は「ノーチラス号」で敵艦隊に敢然と立ち向かって行く……。

 

副題:冒険モノかと思ったら新興宗教団体のカルトホラーだったでござる

海底2万マイルが原作みたいなこと書いてあったからさぁ、ディズニーシーにあるやつじゃろ!あれ好き!って軽率に観に行ったのにまさかのカルトホラーだったでござる。

いきなり緊縛されているメインキャストたち

ジョイス博士【アイルランド海洋学者】…華形ひかる
シリル【ロンドン・タイムズの新聞記者】…永久輝せあ
レティシア【海洋気象学者】…彩みちる

最初上記3名が、椅子に縛られている。そこに朝美絢演じるラヴロック少佐が現れる。上がるオペラグラス。

特定の海域で船がどんどん消えちゃう、みたいな現象が起きてて、その調査のために使えそうな人材を別のダミーの目的で船に乗せて捕まえたっぽかった。
何で捕まえて縄で縛ったのか分からない…普通にお願いすればいいのにって思った。

 

ナマステ〜!

ちょっと揉めた末に、協力しますよーって話にまとまったところで船でトラブル起きて暗転。その後、ジャングルみたいな所に場面が変わって、4人共ココはどこだ!?ってなるんだけど、「飲み物!食べ物!」みたいなこと言ってくる褐色の女性と男性が飲食物を運んでくるの。
第一村人発見!ってことで、ここはどこだ!?ってそのひとたちに問うんだけどビビっちゃってコミュニケーションが取れない。そんな中、コミュ障だなお前ら…あたいに任せなって感じでレティシア(彩)が前に出る。向こうが「ナマステ〜」言ってくるからレティシア(彩)も「ナマステ〜」つって歩み寄って、島だってことが分かる。

 

教祖登場

そんなこんなでワラワラひとが出てくるんだけど色んな人種のひとたちっぽかった。そこにネモ船長(彩風)が現れるんだけど、もう出てきた瞬間からみんな陶酔してるっていうか、

神降臨されし!!!!!!

みたいになっちゃって、ネモ船長崇拝の歌を歌ってた気がする。超怖かった。
実際にまだこのときは上手側の端っこで4人共ドン引きしてて面白い。

この島は冬なはずの南半球にあるにも関わらずあったかくてありえんほどの花畑が広がってた。だけど山には雪が積もってるの。神秘の島なんだって。

わりとウェルカムな感じなんだけど、唯一少佐(朝美)を見てめちゃくちゃ怖がるんだよ。それはイギリス海軍の軍服を着てるからで、祖国を奪われたり家族を殺されたりした過去があるから生理的に受け付けないらしい。この時の少佐(朝美)は軍人の魂を持っていたから軍服に誇りを持ってた。

とにかくネモ船長は最高!ネモ船長は神!そしてみんなは家族!って感じで、少佐(朝美)以外は次第に洗脳されていってしまって家族になっていっちゃったね…

 

ネモ船長とパイプオルガン

キャプテンネモといえばネモ船長のパイプオルガン。
いまいちどこに居るのか分からなかったんだけど潜水艦の中なのかな、パイプオルガンが上手側の少し高い所に置いてあるんだけど…まず、壁とか椅子の背もたれとかに「N」って入ってて、「ッゲーーーー!!!ネモ船長のNかな!?やべえー(センスが)」って思って心の中でゲラゲラ笑ってしまった。よく考えたらノーチラス号のNだったかもしれない…だけどネモ船長は神なのでネモ船長のNだと思いたいな。

そのパイプオルガンもすんごいちゃちくて、パイプオルガンの音色だったからパイプオルガンだって認識してた。BGMを自らの手で流してくれるネモ船長。

レティシア(彩)のお父さんは行方不明だったんだけど、何とこの島で再会できたんだよ!ビンタしてた!その後うわーーーんって抱き合って喜びを分かちあってた。その感動の再会シーンでもネモ船長(彩風)がプヮーーーーーーってパイプオルガン弾いてくれてるの…。このパイプオルガン弾く流れが正直しぬほど面白いんだけど、文章じゃ伝わらないな…絶妙な間と空気なんだよ…!

 

ネモ船長、切腹事件

ある日、島の住人である女性がネモ船長(彩風)のせいでロシア軍の船に乗ってた夫が沈没させられて死んだ!ってキレてナイフ持って暴れるんだけど、ネモ船長(彩風)自らそのナイフに突っ込んでいって自分の脇腹ぐりぐりやりながら説教してた。
〜ネモ船長のありがたいお言葉〜 それで一幕終わる。

二幕始まるとネモ船長(彩風)がひとりでダンスしてくれる。刺しちゃった女性はすごい改心というかぐりぐりやってたときに洗脳されかけてるので罪悪感にさいなまれていて謝りたいけど謝れないみたいな状況。

流れは忘れたんだけど、何でか知らないけどネモ船長の周りに女性たちが群がって踊っててハーレム作ってたの。もうこの図も新興宗教!って感じで怖かったーーー!教祖ってハーレム作ってるイメージあるから。

そこにナイフの女性が参加しに行って、ネモ船長(彩風)とデュエダンするんだけど、デュエダン中に洗脳完了って感じで、踊り終えた頃にはもう超恍惚の笑みを浮かべながら上手側に捌けていった。こえーよ!!!!!

 

ネモ船長の正体

どのタイミングで話してたか忘れたけど、ネモ船長(彩風)はポーランド人だったんだかな…んで、船作るためだけにロシアだかに住んでたんだって。ポーランドに居たとき家族が戦争でしんじゃったかなんかしたんだって。「ネモ船長は謎に満ちた人物」って言われてた割にはガンガン生い立ち話すしみんな知ってる。何なん。何も謎に満ちてない。まあ、それで家族を失ってしまった悲しみを抱えてるんだけど、争いで祖国を追われてるような難民をピックアップして島に住まわせて平和に生きさせてあげたいみたい。島の住人は家族。ネモ船長(彩風)が作った家族。いい話っぽいけど家族って何だよってなる。怖い。

 

ロシアに狙われるノーチラス号

ネモ船長(彩風)が作った潜水艦ノーチラス号は最先端の技術が施されていて、かつてはロシア軍のものだったんだっけな…それを関わっていたネモ船長が奪って逃げたんだっけな…もうわかんない…忘れた…。そんな経緯のあるノーチラス号なんだけど、ロシア軍がノーチラス号が島にあることを知っちゃって事態は急変する。

通信手段もなにもないのに何でバレたかというとシリル(永久輝)がスパイだったの。
どうやって知らせたかというと瓶に手紙を入れて海に放流したの…さらにお返事が瓶に入って届いて、ネモ船長の部下が見つけちゃったんだよ…瓶すごい!

ほんの一瞬だけどシリル(永久輝)はネモ船長の部下に突然蹴りを入れたり殴ったり一瞬暴れん坊になってひょうきんな新聞記者から悪い役になった気がするんだけど、すぐに「家族だ!」みたいなことになって取り込まれていっちゃった…
一瞬でめちゃくちゃ反省しててしょんぼりしてて泣きそうになった。スパイだろうが!自分を律してくれよ!スパイなんだぞ!自我や自分の命を捨てるもんだろスパイは!

このあたりだったかな… モールス信号の合唱 が行われるんだ…。何を言ってるか分からんと思うけど、とにかくモールス信号の合唱が繰り広げられるんだよ!YES!
ここでずっと隣でハンカチで口を押さえながら笑うのを我慢していた女の子が限界を迎えて撃沈してたし、そのせいでわたしも撃沈して肩を震わせて笑ってしまった。

 

躊躇せずに特攻をキメようとするネモ船長

そんなヤバすぎる宴が繰り広げられてる間もロシア艦隊が全艦隊を揃えて来るとかいってるんだけど、ネモ船長(彩風)の作戦はノーチラス号に乗って海底火山に突っ込んでいってノーチラス号を破壊して島を守ろうって内容だった。なんでそういう考えに至るんだろう…

ネモ船長(彩風)の部下たちは自分がかつて居た祖国の旗を机に重ねていく…それを見てたレティシア(彩)が一体何やってるんだって聞いたら「祖国を捨てる儀式」みたいなこと言ってた。そのときも確かネモ船長はパイプオルガンをプヮーーーーーーって弾いてた。

部下たちは祖国を捨てて海底火山に特攻しに行くから、その前に捨てる儀式したみたい…何で…こういう所も、帰る場所を無くして思考を奪うやつじゃん…って思って怖かったよ!

 

サヨナラ、ネモ船長。

船長たちと住人たちのお別れのシーン。ジョイス博士(華形)は「最初は帰りたいとか思ったけどここに永住するよ!」って宣言してた。いや、帰りなよ…。
そんな中、軍服を脱いでイギリス貴族の格好して現れる少佐(朝美)…ヒェッ………って声を漏らす客席…一斉に上がるオペラグラス

少佐(朝美)は事前にネモ船長(彩風)に、俺がしんだあとに島の指揮をとってほしいって打診されてたんだけど引き受けたみたい。

海底火山に向かっていく船内にはみんなが気付かないうちにレティシア(彩)が乗ってて、お父さん慌てる。お父さんと再会できたのにまた別れるのは嫌!ってのは建前で、ネモ船長(彩風)に惚れたので一緒に死にに来たらしい。いつ惚れたんだよ…

ネモ船長(彩風)はイチャイチャする時間ないけどそれでもよければって交際をお受けしてた。来るもの拒まず!!!

船員たち、みんなほぼ笑顔で海底火山にぶつかるのを眺めながら幕が降り、暗転。ドガーーーーーンって音が聞こえて終わりました。

怖いよ!!!!!!!

 

総評

オカルトとかが好きなわたしは面白かったけど、一緒に観た母はトンチキ芝居を観るのが上手くできないので超しんどかったみたいで苦痛だったみたい。
邪馬台国の風からのキャプテンネモだもん、そりゃツライわ。わたしだって冷静になるとツライよ…。でもさ、もう、わたしたち、ネモ船長たちと家族だもん。この舞台、受け入れようよ!

良かったシーンは、ロシアンティーです!ロシアンティー淹れて欲しい。

今回の感想は脚本と演出がヤバすぎるということだけに特化してるんですけど、ビジュアルを含めて組子は最高でした。咲奈ちゃん超カッコイイし、あーさ超綺麗だし、ひとこちゃんも超カッコイイし、他の組子たちもめちゃくちゃカッコイイし可愛い。最高。

雪組が好きなので贔屓目が入っていると思うけど、すごく頑張ってお稽古したのが伝わるの。朝美絢さんとか、月組でグランドホテルやってからの組替えでいきなりこれって何なの?朝美絢の受難って感じ…
宝塚っていう演じるひとたちも観るひとたちも鍛えられている空間だから成り立ってる感じもある。とにかく雪組は頑張った。よく渡された脚本をそれぞれ消化して役に落とし込んで作り上げたと思う。愛おしくてたまらない。

わたしにとってはカルトホラー作品として記憶に刻まれたこの作品。観てよかった。


CAPTAIN NEMO ネモ船長と神秘の島
脚本演出 ▶ 谷正純

東京公演 ▶ 2017/8/29〜9/4
大阪公演 ▶ 2017/9/16〜9/24

劇  場 ▶ 日本青年館ホール・梅田芸術劇場シアターDC