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感想:星組『阿弖流為 -ATERUI-』

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8世紀、東北へ支配領域を拡大する大和朝廷蝦夷征伐に乗り出す中、故郷を守る為に立ち上がった蝦夷の若き指導者・阿弖流為は、仲間と力を合わせ朝廷軍を打ち破っていく。しかし勝利は更なる戦いを招き、やがて朝廷軍の切り札である坂上田村麻呂に征夷の命が下される。

 

若手メンバーによる『阿弖流為』という舞台

とにかく若い座組でした。30名中、94期以上の学年は6名で残り24名は95期以下。めちゃくちゃ若いですよね。中心メンバーもとにかく若い。

阿弖流為[あてるい]…礼真琴(95期)
佳奈…有沙瞳(98期)
坂上田村麻呂…瀬央ゆりあ(95期)
母礼[もれ]…綾凰華(98期)
飛良手[ひらて]…天華えま(98期)
菟穂名[うほな]…天彩峰里(100期)

 
男役は10年やって一人前、と言われていますが95期は今年で男役9年目なのでまだまだ若手です。さらに周辺が98期です。98期なんてまだ新人公演をやっている学年です。字面だけでも「わ、若ーーー…!」ってなるんですけど、実際はこのひとたちは何年目だとか言ってられないくらい、とにかく素晴らしいお芝居を見せてくれて…正直、本当に星組なのか…?と思うほどに上手かったです。
同時期に梅田で『オーム・シャンティ・オーム』の公演がありましたが、そちらは「星組だな」という感じでいつもの星組だったんですね(良し悪し言っているわけではありません。)

 

キャストについて(敬称略)

印象に残ったひとたちのことを少し書いてみます。書いてないひとたちもみんな素晴らしかったです。本当に。

礼真琴

前述の通りまだまだ若手ではありますが、以前から別箱の主演を務めたりと経験豊富な方ので流石の貫禄で素晴らしく格好良かったです。
身体能力が高いひとなので観ていて気持ちが良かったです。後ろに仰け反ってブリッジしてから元の体勢に戻す所とかサラッとやっている。
阿弖流為は礼真琴さんにやらせたい!って初めから決まってのことだったようなのですが超納得ですね。宝塚で阿弖流為をやるなら礼真琴さんだなと…!

 

瀬央ゆりあ

背も高くてTHE・男って感じで、カッコイイんだけどいつもニッコニコしてて面白いひとっていう印象があります。
この作品では「静」に徹していて、非常に落ち着いているけれども内に秘めたアツさだったりが垣間見えたり、絶妙な抑えた演技が素晴らしかったです。お化粧も綺麗でお衣装も似合いすぎるほどに似合っていて超ハマり役だった思います。これはキタわ…これからグイグイ来るのでは…!?って思いました!
役自体もすごく良い役なのですが、その役に喰われることなく完全に落とし込んで表現していたように思います。
もっと瀬央さんが活躍しているところを観たい!もっと瀬央さんがお芝居してるところを観たい!

 

綾凰華さん

阿弖流為と行動を共にしていた母礼を演じていた綾凰華さん、本当に98期なのかよ!っていうレベルに物凄かったです。
このひとは舞台化粧がものすごく美しいですよね。今回も美しかったですけど、纏う雰囲気が男らしかったので格好良い男のひとって感じでした。阿弖流為と共に迎えた最期のシーンは号泣させられました。

 

天華えまさん

阿弖流為の下についていた飛良手を演じていた天華えまさんも、新人公演の主演をしていたりとか経験は結構ある方だとは思うのですが流石でした。天華さんにも最期のシーンで号泣させられてしまい大変でした。あんな格好良い死に方ありますか…。綾凰華さんと天華えまさんのこのおふたり、本当に本当に凄かったです。 

 

夏樹れいさん

93期生なので男役10年を経てお兄さん組って言っても良いかもしれません。星組に貴重な歌ウマ&お芝居上手な男役ですが、今回はゲスい貴族で(笑)。基本的にアホっぽいおちゃらけな雰囲気を出しつつもやることはゲスいし、暗転する直前になるとスッと冷たい表情に変わっているのを目撃してしまい、こういう細かい所へのこだわりが好きですね…!

 

壱城あずささん

こんな凄いしーらん初めて観ました。学年的に及第点といってしまえばそれまでかもしれませんが…。
チンピラみたいなギャンブラーとかよりも、落ち着いていて、いぶし銀の気品のある大人の男のお芝居の方がずっとずっと似合うのではないかなと思いました。
捕らえられたあとに舌を噛み切るシーンとか、気迫が凄すぎて心臓がバクバクしました。最高に格好良かったです。

 

総評

綾凰華さんはこの作品を最後に雪組への組替えが決定しており、佳奈の義弟である菟穂名を演じていた天彩峰里さんもすごくすごく上手だったのですが宙組へ組替えが決まっていて…改めて、鬼かよって思っています。

それでも!星組の未来は明るい!

…と思いました。

自然と共存している雰囲気が伝わるダンスとか誇りを持った生き方だとか、そういう男くさい格好良さがギュッと凝縮されたすごい舞台でした。
若いお嬢様たちが、タカラジェンヌが、ここまで土臭くて男臭いお芝居をやってのけてしまうのか…っていう、舞台人の根性を見せつけられました。

阿弖流為という作品が星組生の気質に合っていたのかもしれないし、主演の礼真琴さんが座組全体に良い影響を与えたのかもしれないし、元々みんなこのくらいのことが出来るのに活躍の場が与えられていなかっただけなのかもしれないし、なぜ星組がこんなに凄いお芝居を完成させられたのかは分かりません。とにかくみんなの力が遺憾なく引き出されていて、観ているこちらも心が揺さぶられました。

わたしはこの舞台で新たな星組の一面を知れました。95期周辺の若手が中心になって舞台を作り上げるであろう未来が楽しみになりましたし、素晴らしい舞台を見せてくれた阿弖流為の座組に最大の賛辞を送りたいです。

 

 

阿弖流為 -ATERUI-
脚本演出 ▶ 大野拓史

大阪公演 ▶ 2017/7/15〜7/23
東京公演 ▶ 2017/7/31〜8/6

劇  場 ▶ 梅田芸術劇場シアターDC・日本青年館ホール