ジグザグ!

舞台『ノラガミ -神と絆-』感想

ストーリー

人の願いから生まれ、そして忘れられると消えてしまう存在「神」。
その中に、無名にもかかわらず不思議と在り続ける神がいる。
その神の名は夜ト。
唯一無二の神器、雪音とともに福の神を目指すべく日々妖退治に追われていた。
そして、夜トが出逢う敢御という存在。
彼は、「争いごとを願う人の思い」から生まれてきた神だった。
争いは、異なる理想同時が生み出すもの。
人の歴史は争いの結果そのもの。新しい時代は常に争いの先にある。
相容れない思いと、それを貫く異なる理想。
神と神器が紡ぎ合う、儚くもまっすぐな絆の物語。

脚本・演出

伊勢直弘(プロフィール
 ・メサイア『銅ノ章』(脚本)
 ・BROTHERS CONFLICT(演出)
 ・CLUB SLAZY(脚本)
 ・炎の蜃気楼昭和編 夜啼鳥ブルース(演出)
 ・炎の蜃気楼昭和編 瑠璃燕ブルース(演出監修)
 ・炎の蜃気楼昭和編 夜叉衆ブギウギ(演出)
 ・おそ松さんonSTAGE(脚本)
 ・ノラガミ『-神と願い-』(脚本・演出)

出演

夜ト(鈴木拡樹)
雪音(植田圭輔)
壱岐ひより(長谷川かすみ)
毘沙門(安藤彩華)
兆麻(和田琢磨
小福(糸原美波)
大黒(友常勇気)
天神(和泉宗兵)
真喩(吉田怜菜)

以下オリジナルキャラクター
敢御(中村龍介
颯丸(川隅美慎)
禄丸(NAO-G)
瑞丸(丸目聖人)

頻出用語

  • 神器(しんき)
    神に見定められて武具となった死霊
  • 道標
    神に従いその道を示す存在のこと。何事にも動じず「善」の指となることが必要とされる。
  • 時化(しけ)
    彼岸の住民である妖が好む陰鬱な空気のこと。
  • 刺す
    神器が神に対して罪悪感を抱いたり嘘をついたり裏切る時に起こす神を苦しめる現象のこと。刺した分だけ状態は悪化し、限界になると神器は妖となる。破門にせずに繋がったままだと神も堕ちる。破門された場合、神器は名を失い死霊へ戻る。

あらすじメモ

このエントリーを書くにあたって観劇後に少し調べましたが、原作は全くの無知、事前調査なし、ノラステ前作未観劇、一回の観劇という状態なので間違ってる所が多いと思いますがあしからず…。

福の神を目指すためどはいえど、斬っても斬っても絶えることはなく終わりの見えない妖退治に辟易としていた夜トは、元凶を探るため天神の所へ出向きます。(天神は系列神社を持つ天満グループの長、ということらしいので様々な情報を持っているということかもしれません。)

そこには先んじて同じように相談をしていた毘沙門が居て、犬猿の仲であるふたりは喧嘩を始めますが、その最中に大きな時化を感じ、みんなは現場へ向かいます。

時化の元凶となっているのは争いの神である敢御(いさご)でした。敢御は禄丸(ろくまる)と瑞丸(みずまる)のふたりを神器としていたのですが、災いを引き起こすという理由で捨てられて神を持たない状態でいた颯丸(はやてまる)を見つけて自分の神器として受け入れて三人の神器と現れます。そして駆けつけた夜トや毘沙門たちと戦いを始めます。

颯丸は神と神器の繋がりを一時的に断つ(=神をほぼ戦闘力無しの状態にする)力を持っていて、その力を受けて毘沙門や夜トは苦戦します。
現れた場所に予測不能の問題を起こす貧乏神である小福の介入により戦いは中断し、敢御たちは去っていきました。一時期的とはいえ、繋がりを断たれて夜トの力となれなかったことにショックを受けたのか、雪音は気落ちしてしまいます。

神器の精神状態が不安定になるとその状態が神にも影響してしまいます。また、神に嘘を付いたり罪悪感を抱くと神が苦しむ「刺す」という現象が起きます。この神を「刺す」という現象が夜トにも起きていました。雪音が気落ちをしていることで夜トの体調にも影響し、体が怠い状態が続くようになっていました。
一方、敢御も時折刺される現象に襲われていましたが、夜トを自分の神器にしたいとも思っていた敢御は再び夜トたちと対戦します。

雪音も戦いの中、夜トのアシストもあり吹っ切ることが出来ました。そして戦いの結果、敢御は夜トたちに負ける形となりますが、戦いによるダメージ以前に既に体は限界に近い状態でした。それは颯丸に刺され続けていたことが原因でした。

信仰を集めている神は神器や妖によって死んだとしても「代替わり」という再生することが可能で、敢御も絶えず争いを望む人々の信仰により何百年も代替わりを繰り返して生きてきたことを禄丸や瑞丸から聞かされた颯丸は、敢御が代替わりをするということを受け入れることが出来ずに、敢御の意思に心から従えない状態でいました。

代替わりをすると、今の敢御の記憶を失って別の敢御になってしまう。自分を拾ってくれた敢御とずっと一緒に居たいと願ってしまった颯丸は、皮肉にも大切な存在である敢御を刺してしまっていたのでした。

颯丸は夜トに「縁切りをするか代替わりをさせるか」という二択を迫られます。縁切りをすることで、これ以上敢御を刺すことはなくなるけれども、敢御との縁が切れるので仕えることは出来なくなる。代替わりをさせると縁は切れないが自分を拾ってくれた今の敢御とは別れを遂げることになる。どちらにしても颯丸にとっては耐え難いことでした。代替わりをさせて、今度は道標として正しき道へ進ませろと周囲に言われた颯丸は、悩んだ結果、敢御に代替わりをさせて初めからやり直すことを選びます。
代替わりをすることが当たり前で不思議に思っていなかった敢御でしたが、颯丸の気持ちを受け取り「くすぐったいな」と笑ってこの世界から消え、颯丸は「やっぱり自分は災厄をもたらす存在だ」と改めて痛感させられ、打ちひしがれるのでした。

雑感

  • 颯丸ーーーーーー!!!!!(号泣)これに尽きる。自分を拾ってくれた敢御のことを大切に想って、ずっと一緒に居たいと想っていただけなのに、それが結果的に敢御のことを苦しめていたなんて可哀想にも程があります。本当に可哀想。無理すぎる。もう自分の中で敢御さまと颯丸が救われる二次創作を作らないとやってられない。幸せになって…お願い…。

  • 敢御さまが完全な悪役じゃないし特にハッキリとした悪事が分かりづらかったかな。でもとりあえず争いを起こすことがお仕事なんだよねきっと。使命を全うしつつ神器を大切にする至ってまともな優しい神様の姿に思えた。愛されヒロイン系な敵役。憎めない。
    刺されていることを颯丸には言わずに「何か思うことがあるのか?」と聞いて、颯丸から「ありません」と返事が返って来ても「嘘をつくな」と責めずに「そうか」で終わらせて刺されても我慢する敢御さま、優しすぎるんですけど。優しすぎる敵役を中村龍介さんが演じるからこそ敢御というキャラクターが生きたのではないでしょうか。

  • わたしは見逃していたのですが、一緒に観ていた友達曰く、最後颯丸が赤ちゃんを呼ぶような動作をしていたみたいです。代替わりした敢御ベイビー(号泣)。何百年も敢御の代替わりを見届けて赤ちゃんの頃から育てている禄丸と瑞丸は育児のプロなのでは?

  • 颯丸の攻撃で神と神器の繋がりが断たれるのは一時的なものなのに、雪音がすごく狼狽えてその後すごく気落ちしてしまう理由がよく分からなかった。一時的だからいいじゃんって思ったのだけど…神と神器の繋がりって一時的でも遮断されるってことが衝撃的なことなのかな。気落ちしてる姿が可哀想で元気出して…って心の中で応援した。

  • 丸目ちゃんのチャラ演技!毒蛾みたいな柄のパンツすごいよ!

 

  • 丸目ちゃん、カテコで優しい目をして客席を眺めるのに、ステージから捌けるときは投げキッス。舞台中も基本的にちょりーっす☆って感じだった。ま、まるめちゃ…!!!丸目ちゃんいいぞー!!

  • 植田圭輔さんの雪音、ヴィジュアルがめちゃくちゃ似合ってると思います。顔立ちと髪の色とかのバランスが合っててとても素敵。褒めることしか出来ないけどとにかく似合ってる!

  • 毘沙門役の安藤彩華様サイコーでした。身長175cmだと聞いたことがあります。女性で170cm以上あると非常に舞台映えして素敵です!スタイル抜群だしセリフ聞き取りやすいし二丁拳銃でアクションするのも大きい武器振り回すのも格好良かった。

  • 安藤彩華様といえば、昨年10月28日に公演した舞台『炎の蜃気楼』のアフタートークの時に、登場予定ではなかったんだけど誕生日だからと呼ばれて楽屋から出てきて下さったのですが、ウィッグを取った後のふぁさふぁさな髪の状態でスウェットみたいなの着てて、完全に呼ばれることを予想していなかったくつろぎスタイルで客席の爆笑を誘ったことをよく覚えてます。そしてお祝いされた時にうるうるしててほんっっっっっっとにそれが可愛くて!格好良い毘沙門としてのお芝居を観れて嬉しかったです。

  • 小福かわいい。貧乏神だけど明るくて良い子だって分かるから見守りたくなる。そして小福役の糸原美波ちゃんほっせーーーーーー!!!!!脚が中村龍介さんの二の腕と同じくらいの太さしかない。体重めちゃくちゃ軽そう。友常さんも力持ちだと思うのだけど、意図もたやすくお姫様抱っこして振り回したり台に乗せたりしているのを見て絶対軽い(確信)ってなりました。声も顔も可愛いくてちっちゃくて、砂糖菓子みたいな女の子でした。

  • 兆麻(かずま)役の和田琢磨さんの静と動の演技好きだなあ。前作からあんな感じなのかな?静の時はクレバーな雰囲気なのに基本的にヒステリックでコミカルでかなり笑かされました。捌けていくみんなが一人ずつ兆麻にぶつかってその度に回転扉みたいにくるくる回ってしまいには股間おさえて「Ohーーーーーー」ってなってるとこサイコーでした。血管切れそうなくらいヒステリックになってるとこも腹筋死にそうでした。綺麗なひとが火のついた爆竹みたいな演技するのいいっスよね。

  • 鈴木拡樹さんは二刀流も上手いのだな…。利き手じゃない方も自然に刀を扱うの大変で…って、るろ剣で四乃森蒼紫役を演じていた月城かなと君が言っていたのを思い出した。幻の城では槍も自在に使っていたように見えるので、努力もしているだろうけど器用なひとなのかな。

  • 音も立てずに軽々と段差を駆け上がったりジャンプする鈴木拡樹さんは猫さんなのかもしれない。

  • プロジェクションマッピングの正しい使い方って感じがした。どこに居るか分かりやすかったし、神器を召喚して戦うシーンなどで表現の補助的役割を上手く担っていると思った。

  • 神器を解除するときに照明がパッとついて視界が明るすぎて何も見えなくなる→暗転→元に戻ってるっていうのがなんか良かった(語彙力)。

  • かなり頻繁にスモークがぶっしゃー出る所にミラステみを感じた。最前列ド真ん中で死因:スモークになった想い出。

  • プレミアム席の特典がキャストの写真とQ&A(直筆)が掲載されているミニ冊子だったのが嬉しかった。どうでもいいグッズよりもこういう方がずっといい!表紙がオシャレ!今回買わなかったけどパンフレットもオシャレ!美術館のパンフレットみたい。これなら飲食店で広げても恥ずかしくない!

 

感想

今回は何も知らない状態でノラステを観劇したのですが、こうして観劇を終えて感想をまとめるにあたって何となく脚本・演出を調べてみたら、『炎の蜃気楼』を手掛けた伊勢先生と知って「なるほど先生の得意分野じゃねーの!」って納得。

話は逸れますが、荒牧慶彦さんが『炎の蜃気楼(以下ミラステ)』に出演するに際して役作りに苦しんで役者を辞めたいとまで思ってしまった、というエピソードが『舞台男子』で語られています。この時に面倒を見てくれた方が伊勢先生、ということで良いのでしょうか?うわー!伊勢先生の手がけた別の舞台を観ることが出来てよかった。

役者になって初めて、本当に初めて、一日だけでしたが「もう辞めたい。やりたくない」ってなりました。役が全然掴めなくて、できないことが歯がゆくて。稽古場でダメ出しみたいなことを言われて、聞いてはいるんだけどつい反抗的な態度をとってしまったんです。
いらいらしていて、首を傾げて「はい?」って返事するみたいなことをしちゃった。でも、演出家さんがすごい良い方で、「あ、今、荒牧は悩む時期なんだな」と思ってくださったみたいで…放っておいてくれたんです。
怒鳴りつけるとかじゃなく、そっとしておいてくれたのが今にして思えば、本当にありがたかった。
初めて役をきらいになったし、初めて辞めたいと思ったし。でも翔さんや演出家さん、プロデューサーさんが、その若さで、役者を始めたばかりのときにそこまで苦悩する役に会えたのはすごいいいことだよ。ここで経験してよかったね、と言ってくださって、本当にそう思うし、辛かったけれど大きな糧になりました。
おーちようこ著『舞台男子』株式会社一迅社 2016年 30p〜31pより一部抜粋


閑話休題。今回はブラック企業に勤めてるせいで滅多に舞台を観ることが出来ない鈴木拡樹さんファンの友達がこの日なら休めそうだということで、チケットを取って観に行ったのですが本当に情報量ゼロの状態でも観てるうちに設定も何となく察しがつきましたし、観ていてとても面白かったです。面白かったけど颯丸が可哀想なので、育児のプロの禄丸と瑞丸にアシストしてもらいながら代替わりした敢御の存在が颯丸の生き甲斐になって幸せな気持ちになるといいなと思っています…。ほんと幸せになってお願い!純粋に楽しんで観れたので、もしも次があるならば、また観てみたいと思う作品でした。