ジグザグ!

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愛するには短すぎる

花組『金色の砂漠』

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自分がどこから来たのかも知らず、王女タルハーミネの奴隷として育てられた少年、ギィ。常に王女に付き従って世話をする彼は、長じるにつれ、美しく傲慢な王女に心惹かれるようになる。ギィを憎からず思うタルハーミネではあったが、王女の立場と何より彼女自身の矜りが、奴隷を愛することを許さない。タルハーミネはわざと高圧的な態度でギィを虐げる。
奴隷でありながら矜り高いギィは、そんな王女を恋の前に屈服させたいと激しい思いを募らせる。
ギィの怒りにも似た愛は、やがて報復の嵐となってタルハーミネと王国を呑み込んでゆく――。 架空の古代世界を舞台に描き出される、愛と憎しみの壮絶なアラベスク

 

『金色の砂漠』の方は、愛憎/復讐/身分の違い/男女のいざこざ/実はわたしがお母さんなの!/実はお前たちは兄弟なんだよ!/実はお前の身分は本来は高かったんだよ!/処刑したと思ったら生きていて復讐された!…といった要素が詰め込まれているので、韓国ドラマだなあって思ったけど、オタク向けの要素がいっぱい詰め込まれていて面白かった!
美しい明日海りおさんが奴隷って時点でオタク向け。そんな奴隷の明日海りおさんが女主人の婚礼の儀の前日に押し倒すとか、ね。設定が既にオタク向け。奴隷がみんな格好良いので、奴隷とは?という概念がよく分からなくなる。こんな格好良い奴隷が自分に付いてたら何でも自分でやってしまうし気遣ってしまう。
常人では決して虐げる気にならないイケメン奴隷を踏み台にしたり「砂や塵と同じですわ」って言ってしまうタルハーミネ(花乃まりあさん)はすごい。

今回語り部でもある『ジャー』を演じた芹香斗亜さん、素敵だったー。芹香斗亜さんはソツが無くて、歌も上手いしセリフの声も聞き取りやすいしお芝居もダンスもとにかく安定してるように見える。「キキちゃんってどんなひと?」って聞かれたら「トータルバランスがいい人」って答えるかな。自分の中の芹香斗亜さんはトータルバランスの良い役者という位置づけ。ジャーという役の好感度が高いのもあったと思うけど、芹香斗亜さんのことがすごく好きになった!

仙名彩世さんのロケットのこと。ネット上にある感想をあまり読まないので、観劇日に初めて彼女がロケットに出ていることを知った。
\エキゾチック!ジュエリー!/って聞こえたかと思ったら真ん中に仙名彩世さんが居て、マジか、マジなのかと思った。ロケットって言ったら若手の見せ場だと思っていたものだから、次期トップ娘役が混じっていることに驚いた。真ん中でオラオラ踊っていてハートの強さに痺れるしかなかったし、最高に元気が出たし、とても格好良かった!

ゴラーズ役の天真みちるさんは、いつも芸達者なイメージがあって、とても好きな役者さんです。声もとても素敵だしお芝居も好き。いつかは専科になって永遠に宝塚に居て欲しい(勝手なことを言う)。

明日海りおさんのお芝居も好きで、観ていると物語の世界に引き込まれる。ものすごく綺麗な人だけど、陰気だったり変質的な役がとても似合う気がする。源氏物語では幼女趣味だし、今回は奴隷なのに女主人を婚約者から寝取るし。これは生で観てはいないのですが『春の雪』のお芝居もすごく好き。ミーマイのビルみたいな明るいコミカルなお芝居も観てて楽しいのだけど、屈折していて陰気なお芝居を耽美に表現してくれる。

この公演はトップ娘役の花乃まりあさんの退団公演だった。この演目が退団公演で良かったと思う。
タルハーミネは我儘で奔放だけど何だか窮屈そうで苦しそうだった。タルハーミネが危険を冒してまで「金色の砂漠」を見ることを何であんなに求めてたのか描かれていなかったけど、「金色の砂漠」っていうのは「解放」や「自由」=「死」だったのかもしれないと自分の中ではそう解釈している。
希死念慮でも抱えてるかのように、ずーっと「金色の砂漠」を求めて生きていた。「金色の砂漠」を見ることが出来たタルハーミネは、呪縛から解放されて自由を手に入れた。つまり死ぬことが出来た。
タルハーミネのような役を演じている花乃まりあさんをもっと観たいと思ってしまったくらいだった。