ジグザグ!

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宝塚星組公演『燃ゆる風』感想

舞台観劇 宝塚歌劇

ストーリー
群雄割拠して天下をうかがう戦国の世に、類い稀な知略を持つ軍師としてその名を轟かせた竹中重治(通称・半兵衛)。
敵対する織田信長にその才を見込まれた半兵衛は、信長の命で勧誘に訪れた木下藤吉郎秀吉(後の豊臣秀吉)こそ天下人になる器と見抜き、その家臣となって数々の戦で秀吉を勝利に導いていく。
寡黙で忠誠心にあつく、武功をあげても出世を望まぬ無欲恬淡な人物像に迫ると共に、幼き頃より彼に寄り添い支え続けた正室いね(得月院)との夫婦愛や、共に秀吉を支えた軍師・黒田官兵衛との絆を交えて描き出すオリジナル・戦国ミュージカル。


作・演出
鈴木圭(宝塚歌劇団所属)
 ・逆転裁判シリーズ
 ・戦国BASARA


出演
竹中半兵衛(七海ひろき)
いね(真彩希帆)
羽柴秀吉(悠真倫)
ねね(万里柚美
黒田官兵衛(天寿光希)
光(紫月音寧)
松寿丸(天彩峰里)
丹羽長秀(大輝真琴)
柴田勝家(輝咲玲央)
明智光秀(音咲いつき)
織田信忠(紫藤りゅう)
織田信長(麻央侑希)
濃姫(音波 みのり)
齋藤道三中川清秀(朝水りょう)
橋村三郎太(天華 えま)


雑感

  • 半兵衛が優しすぎてどうしようもない。どうしようもないんです。あんなに優しい人が居たら男でも女でも誰だって惚れてしまう。

  • 官兵衛や濃姫をはじめ、みんなに遺していったものが愛そのもので、救いと希望を置いていって亡くなるんです。半兵衛があげたプレゼントが開かれるのは最後の方。涙腺を崩壊させに来る演出でした。この半兵衛の優しさをかいちゃんが見事に表現していて、かいちゃんだからこそこのあたたかい優しさを表現できたのかなとも思いました。本当にあたたかいんですよ。包み込まれるような優しさで。かいちゃんってショーになると頻繁に2階を見てくれている印象があるんです。2階に向かってバチバチとウインクしてくれたり。気配りが自然に出来る人なのかなっていうのが初めてかいちゃんを知ったときの第一印象だったので、半兵衛が優しいのもすんなり入ってきました。戦云々というよりは、それぞれの感情を丁寧に表現する描写が多く、歴史モノというよりは人間ドラマの色が強かったので歴史モノが苦手な人でも抵抗なく世界に入り込める構成になっていたと思います。

  • かつて幼かった半兵衛に「命の使い道」を教えてくれた濃姫。病に冒され自分の死期を悟った半兵衛は、幽閉されている官兵衛を助けるため、妻のいねに濃姫に面会して信長を動かしてもらうよう働きかけて欲しいと伝え、いねと今生の別れを遂げます。半兵衛に言われた通りにいねは濃姫に面会をしに行きますが、そこで濃姫が泣く泣く手放した愛娘が目の前に居るいねであること、更には半兵衛の妻だったことが分かります。この時のシーンを思い出すだけでうるうると涙が出てきます。これは朝水りょう君が演じていた齋藤道三の愛でもありましたね。濃姫の心の傷が癒えて希望が生まれた瞬間は素晴らしかったです。

  • 天寿さんに「いい人」を演じさせると、右に出る者はいないと思いました。今回黒田官兵衛を演じましたが、聡明だけど少し頑固な所が良かったです。

  • 毛利側に寝返った武将を説得しに行けばまた織田側に戻ると思った官兵衛は、秀吉や半兵衛の忠告を無視して有岡城に向かうも、捕縛されて幽閉されてしまい音信不通となります。そして信長は人質として秀吉に預けていた官兵衛の息子・松寿丸の首を刎ねよと秀吉に命じますが、秀吉は大切に預かり育てていたため殺せない。そこで半兵衛が私がやりますと信長に言い、松寿丸を連れ出します。松寿丸がね、「怖くありません、覚悟しておりました」って言うんです。でも目には恐怖も感じられて、そのまま歌うのですがここでも涙腺めちゃくちゃです。
    結局の所、半兵衛がいねに「この子を頼む」と言って松寿丸を匿います。「私は死ぬ覚悟が出来ております」と松寿丸は言うのですが、そこでも「命の使い道」を説きます。そして「父に再会したらこれを渡すように」と自分の軍配を息子に預けます。じきに半兵衛は病によって亡くなります。(肺結核だったとされていますが、咳込み方がすごくリアルでした。)

  • 官兵衛が敵地から救出されて意識を取り戻した時には、もう半兵衛がこの世を去ったことを知り、秀吉や半兵衛に迷惑をかけたこと、そして自分の過ちにより息子の命が奪われたことへの後悔の念に押し潰されて泣き崩れる様が何とも言えなかったです。

  • そこに松寿丸が現れ、半兵衛が松寿丸を護ってくれていたことを知り、またも泣き崩れます。松寿丸は父である官兵衛に預かっていた軍配を渡しました。天下人となるのは信長ではなく秀吉であると思った半兵衛が、秀吉が天下人になる姿を見届けられないことを悟り、志を同じくする官兵衛に想いを繋げたことを表していて、単純に軍師カッコイイんだけど…!って感動してました。

  • とにかく全編通して半兵衛が優しい。かいちゃんが優しくてカッコイイ。だからクールに話してる時はギャップ萌えする。親友の三郎太が戦死して精神がボロボロになってしまう姿も儚かった。半兵衛、いねを抱き締めるとき、ただ抱き締めるだけじゃなくて、いねの背中をぽんぽんってするんですよ。そういうの絶対にときめくやつじゃないですか。かいちゃん、そういう所は計算してやってますよね。勘弁して欲しい。

  • 半兵衛もうんと優しいし秀吉も可愛いし官兵衛もいい人だし、戦国時代にしてはほんわかとした雰囲気になる所でしたが、そこを引き締めたのが麻央 侑希さん演じる信長でした。麻央さんの信長、めちゃくちゃ怖かったです(笑)。背も高いしドス効いてるしで、「女子供にも容赦はしない」「全員皆殺しにしろ(みたいなこと)」とか言い放ってるのが様になっていてあまりにもカッコイイ。激しさや狂気が外に漏れていて怖くて甘さゼロ。糖分ゼロ。最高でした。

  • 女性陣もよかったです。希帆ちゃんと音波さんが居る時点で歌唱面は最高でした。音波さんは今回初めてお芝居をじっくりと観ることが出来たのですが、話してる声もすごくいい声ですね。見た目も勿論綺麗だし。エトワールとかで観てはいたけど、お芝居もちゃんと観てこんなに素敵な人だったんだ!って思いました。希帆ちゃんもしっとりとしつつ凛とした女性を見事に演じきっていて素敵でした。

  • 朝水りょう君!わたしはりょう君のために本拠地まで遠征に来たんですよ!別箱公演ってことで出番が多くて本当に嬉しかったです。真っ赤な着物で黒髪オカッパで現れたときは驚きましたが(笑)。でもすごく似合ってました。女の子なりょう君を観るのが初めてだったのでドキドキしました。ちょっとしたソロもあって!りょう君は声もいいし歌も上手いからもっと歌わせて下さい!もう、姿を目にしただけでわたしは泣きそうになりました(重い)。



この公演は円盤にはならないんですよね…?すごくいい舞台だったから円盤にして欲しいです。チケット難で観れなかった人も沢山居るというのに。バウで公演するのが勿体無いって思いましたよ。もっと大きい劇場で沢山の人に観てもらうべきだったと思います。心に残る素敵な舞台でした。


今回、宝塚歌劇団の本拠地に行くことが出来てとても嬉しかったです。みんな普段はここで頑張っているんだなと思うと東京組は遠距離恋愛なんだな…というか地方妻なんだ…みたいな少し寂しい気持ちにもなりました。宝塚を好きになって以来、関西住みの方が羨ましかったりします。だいもんがトップになったら大劇場にも行くと思います。今年初めての宝塚観劇を宝塚の本拠地で過ごせて幸先の良いスタートとなりました。